公開講座

自由はどうしたら可能か――17 世紀オランダという実験場

講座内容

グロティウス、ホッブズ、スピノザ―― 歴史の教科書を見ると、出身地もプロフィールも専門分野もかなり違うように見えます。 しかし、17世紀ヨーロッパの知的世界で最も実験的であった土地、オランダの文脈の中で見てみると、彼らが自由な国家を目指し、お互いに近いところで切磋琢磨していることが見えてきます。 この講義では、国家と自由の成立条件をとことん論じたこれら思想家、特にス ピノザを、歴史教科書が教えない「思想や出来事の繋がり」の中で見ていきたいと思います。

講師略歴

東京大学法学部を2000年に卒業し、そのまま助手として研究生活に入りました。この期間にオランダのロッテルダム・ライデンに留学、史料に即して研究することの大事さを知り、助手論文の提出後、公法史の第一人者ミヒャエル・シュトライス教授の下で、改めて本格的な研究に従事しました。シュトライス教授が所長を務めるフランクフルトのマックス・プランク・ヨーロッパ法史研究所を拠点に、オランダ各地のほか、北ドイツの近世史料専門図書館やベルギーのルーヴァン(近世ラテン語の研究拠点)などを巡る生活は、研究を掘り下げる上で非常に貴重でした。この間、2007年に助手論文を基礎にした『国家・教会・自由――スピノザとホッブズの旧約テクスト解釈を巡る対抗』を東京大学出版会から出版、2014年にはその後の研究成果を英語論文の形にまとめることができました。後者の論文は、現在、単著としてヨーロッパの出版社から出版することになっています。駒場では2011年4月より国際社会科学専攻に准教授として勤めています。

来場者の皆さんへひとこと

歴史を勉強したからと言って、それが、現代の問題に即効薬として効いてくるわけではありません。けれども、歴史を忍耐強く学んでいくことで、人は以前よりも少し自由になります。先達の努力の蓄積の中で今回の授業は大河のほんの一滴にすぎませんが、歴史上の、言わば「星の時間」の一つを、この授業で皆さんと共有できればと希望しております。