駒場キャンパスの守衛さんにインタビュー!
インタビューに答えてくれた人
東京大学 駒場正門守衛室 隊長 野澤さん
守衛さんについての基本情報
所属について
野澤さん:東京大学駒場正門守衛室に所属しています。より正確にいうと、東京大学では大学から業務委託された会社が警備を担当していて、私はその会社に属しています。東京大学が国立大学法人になる以前は、学生部(現在の学生支援課)の職員が警備を担当していました。ちなみに本郷キャンパスには、安田講堂警備室を中枢とする形で各門に守衛室がありますが、駒場Iキャンパスにあるのは正門守衛室の1箇所だけです。
この職業に就いた経緯
野澤さん:一般企業を定年退職して、第二の人生として働いています。生きている以上は社会と繋がっていたいと思います。もともと警備員になりたいと思ったことは一度もありませんでした。たまたま学園警備というお話があったことと、もう一度学舎に帰ってみたいという思いもあり、この仕事に就きました。非常にやりがいのある仕事です。
守衛さんとしての勤続年数について
野澤さん:本郷キャンパスで5年間勤務したのち、駒場Iキャンパスで5年間勤務しています。合計10年間、東京大学で勤務してきたことになります。
主な業務内容について
野澤さん:キャンパス内の安心安全を保つため、主に
①門の開閉
②各建物・教室・研究室等の施錠(学生自治団体の管轄する建物を除く)
③キャンパス内の巡回業務
を行っています。
勤務時間について
野澤さん:勤務時間内に仮眠や休憩はありますが、朝8時から翌朝の8時までの24時間勤務です。翌朝にシフト交代をして、次の担当にバトンを繋ぎます。
守衛さんからみたコロナ禍における東大
コロナ禍でキャンパスにみられる変化
野澤さん:コロナ禍以前は、駒場Iキャンパスの門は基本的に24時間開いていました。現在(インタビューを実施した8月当時)は正門以外の門は20時30分に施錠され、キャンパス内の通り抜けができなくなっています。
委員:それによる影響は何かありましたか。
野澤さん:コロナ禍以前は、体育館の下駄箱の靴や貴重品などの盗難被害が日常茶飯事でしたが、コロナ禍における閉門でキャンパス内に一般の方が入りづらくなったことで、ここ2年の警察への盗難被害届は0件になりました。皮肉にも、コロナ禍によってキャンパスの安心安全が保たれるようになったわけですね。
コロナ禍で学生・学生生活にみられる変化
野澤さん:コロナ禍になり、マスクなども含めて行動規範がガラリと変わってしまいましたよね。端的にいうと、今の学生はかわいそうだと感じます。キャンパスは、本来もっとオープンであるはずです。
委員:そうですね。昨年はほとんどの授業がオンラインで、キャンパスに行ってクラスメイトと会えるのは週に2回程度でした。
野澤さん:オンラインで授業が完結できてしまうと、キャンパスの存在価値はどこにあるんだろうとなってしまいますよね。学生の中でも、オンラインで十分だと感じている人が一定数いるとも聞いています。でも本当にそれでいいんですか? と、私は学生の皆さんに問いたいですね。
委員:確かにオンラインの方が学習効率が良いと感じられる授業もあります。ただ、今年度になって対面授業が全面的に再開されてから、やはりキャンパスで行う対面授業の魅力を強く実感しました。
野澤さん:コロナ禍で入学してきた学生さんはコロナ禍以前のことを知らないため、本来のキャンパスライフと比べようがないのも事実ですが、少なからず違和感を抱いていると思います。昨年と一昨年は、キャンパスライフの幕開けともいえる「オリ合宿」がなくなってしまったわけです。今の駒場の学生が本郷に移ったら、「駒場での生活はどうでしたか?」と訊いてみたいものです。
委員:オリ合宿というのは、東大に入学してすぐの4月にクラス単位で行う1泊2日の旅行のことですよね。2年生の先輩方が連れていってくださるとのことでしたが、私たちのときは中止になってしまったので、行ってみたかったなという未練があります。
野澤さん:コロナ禍でマスクをしているためか、今の学生さんは以前に比べると元気がないように見えますね。飛沫感染防止の観点から騒ぐことが忌避される現在では、昔よりも騒ぎづらいようにも思います。
委員:それでも今年は昨年に比べると、制限は緩和されつつあると感じます。キャンパスでの対面授業はほぼ全面再開され、部活・サークル活動も感染症対策をしつつ、しっかり行えるようになっていますよね。講義がほとんどオンラインだった昨年の状況を知っている私たちからすると、確実に状況は改善していています。これから入ってくる学生たちは、より本来に近いキャンパスライフを送れるのではないかと思いますね。
野澤さん:早く普通の学生生活が送れるようになってほしいと期待しています。
守衛さんだからわかること
登校時、どれほどの学生が守衛さんに挨拶してくれますか。
野澤さん:会釈も含めると半分くらいの人がしてくれるように思います。正門に立っている守衛を無視するような学生さんはそんなにいませんね。
守衛さんだからこそ知っている、東大生についての豆知識を教えてください。
野澤さん:「勉強したいんですけど、開いている教室ありますか?」と朝の5時頃に聞かれることがよくあります。「家にいると勉強できないので。」ということらしいのですが、東大生は本当に勉強が好きなんだなとつくづく感じました。
東大の二次試験当日の様子を教えてください。
野澤さん:東大の受験生はとにかくお行儀がいいんです。当然ながら、心構え・準備がしっかりできていることが態度に表れています。多くの受験生がしっかり下見に来ていますよね。記念受験のようなおちゃらけた気持ちの人はいません。
二次試験当日は、受験生の保護者の方々もたくさんいらっしゃって、非常に気高い気持ちで付き添っていらっしゃいますね。2月の極寒の中、試験中ずっと正門前で待っている保護者の方もいらっしゃいます。
守衛業務で大変なことはありますか。
野澤さん:教室を施錠する際に、全然教室を出てくれない学生がいると困りますね。基本的に1回目に声をかけるときは優しくお願いをし、2回目には少し強めの言い方で依頼をし、3回目は電気を消して退出せざるを得なくします。まさに強制執行ですね。
最後に
東大生へのメッセージをお願いします。
野澤さん:人と人とが触れ合う機会を意識的に増やした方がいいのかなと思います。対面に勝るものはないと思うので、そういう機会を極力持つことが将来につながると思います。それをサポートするのも私たちの仕事です。
守衛に話しかけてくれるのは大歓迎なので、ぜひ気軽に声をかけてください!
中高生へのメッセージをお願いします。
野澤さん:好きなことを一番に伸ばすといいと思います! 好きなものを突き詰めていけば、きっとものすごく伸びるからです。ちなみに、私は若い頃レーサーになろうと思っていて、大学時代はカーレースの大会に打ち込んでいました。いろいろなことを平均的に伸ばすのではなく、自分の興味をとことん追求していってほしいです。
委員:野澤さん、ご協力ありがとうございました!